目が合うと、必要以上に
瞳の奥をのぞきこんでくる奴だ
町でそういう奴に会った
旅をしていると言っていた
なぜか僕にずいぶん興味を示して
混血の狼なんてめずらしくないとは言わないけど
あんなにしつこくする程のものでもないのに
それとも城内にいることがめずらしかったのかな
けど僕は最後まで自分のことを話す気には
なれなかった
しばらくしたらあいつと会った店へ、仕事でまた
行かなくちゃならないんだけど
正直言って もう会いたくない
なんていうか …嫌悪感があるんだ
僕もずいぶん汚い人間になったもんだよ
こんなに
--…他人を悪く思うなんて
今までのこういう感情とは違うんだ
僕の心は人を憎みやすくなっている
どうしてだろう |
どうして君を愛するこの心が
こんなにも 人をにくむことができるんだろう
でもね、この感情は決して
君に関するできごとのせいではないよ
君を想うことは 僕に最高のやさしさをくれるんだ
そのやさしさの影にうごめくあの感情は
生まれた時からずっと僕の中にあったあれは
------…血のせいなんだろうか
この醜い心が 僕の真実なんだろうか
『人間のあやまちこそ 人間をほんとうに
愛すべきものにする 』
『ひとりの人を愛する心は、どんな人をも
憎むことができません 』
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