の落ち葉 NEW!

08/6/19

その名のとおり降っては消えていく落ち葉のように
その日その日に描いた落書きを置いていきます
過去ログは右にある過去落ち葉メニューから。
更新は不定期、一応最低24時間はそのままにしておきます




No.292

 5

 その日から僕はマリアルに会いに行くのが待ちきれないほど楽しみになった。
 彼女は今までの様子が嘘みたいにくるくると表情を変え、僕といろんな話をした。ずっと長いこと僕がここでひとり言みたいにしてくりかえしてた言葉を、信じられない程流暢に話す。その上彼女は、時々生意気なことを言ったりもする。いや、僕が教えたことしか知らないんだから生意気というのはおかしいかもしれないけどね。体の調子もずいぶん良くなっていった。これなら今の僕が作る水でも十分ことたりるだろう。

 10歳になった時、僕は正式に父さんから召喚士としての称号を受けた。その儀式の中で呼び出した”知”そのもの。何でもひとつだけ教えてくれる神様。僕の頭の中はもちろんマリアルのことでいっぱいだった。いとこのウェスリは僕のとなりで目を閉じて、心の中で自分の知識欲を言葉にしている。
  僕は。僕の知りたいのは…。
  丸一日かけた儀式を終えた次の日の夕刻、僕はうれしくてうれしくて走る足をもつれさせながら、転がるように彼女のところへ走った。

「お誕生日、おめでとうマリアル!」

 彼女は驚いて僕を見た。僕は彼女にことのいきさつを話した。信じられないよ、君の誕生日を聞いたんだ、そしたら明日だっていうんだもの。過ぎてたり、ずっと後だったりしたらどうしようかと思ってたんだ。うれしくて内緒にしておける自信がなかったから。
  君は僕より2つ年上で今12才なんだって。うーん、年上だろうな、とは思ってたけどふたつかぁ。まあ、だからと言って何がかわるわけでもないし。むしろ僕は君と僕が前よりずっと近づいたような気がするよ。ねえ、そう思わない?



  それからの彼女は本当に順調だった。
  僕も修行を重ね、結界を半径数十メートルのものにまで広げた。ある時僕が城に上がる機会があったときには、僕ははじめてセリフィンと呼ばれるひと達に会った。言葉の違いをずっと耳にして、僕は帰った後マリアルにすこしずつ言葉づかいを教えていった。ただし、これに関してはその時のものと、僕自身の言葉を合わせるとこうなるのか?という疑問が若干のこることは否定しない。
 


  とにかく僕らは何にしても順調だった。やがて君は僕がいなくても歩けるようになるだろう。いつまでもここに閉じ込めておいたりはしないよ。時がくれば君は君自身の力で物語を描いていくんだ。

 

 

 

 


  マリアル、これは君の描く君自身の物語。僕はこのペンをいつか君の手に返さなきゃいけない。君を見つけたのが僕でなくても、物語は始まる。君の物語の中に僕の名が記されるのに特別な意味はない。それは僕だから君に出会ったのではなく、僕は偶然出会ったからそこに登場するだけなんだ。

「 これは君の物語 」

たとえ僕の名が、特別な意味を持って
君の中に 記されたとしても…

Olphe・Elvisbattle

< ・・・5・・・ >

おまたせいたしました…
やっと、5話完結です。

オルフェとマリアルのはじまりの物語。
マリーをマリアルと呼ぶのはオルフェだけです。
マリーが外に出て初めて会った人間=カーリングに自分の名をマリーと名乗ったので
その後、オルフェ以外の全員がマリーと呼ぶようになります。
オルフェはそのことに最初違和感を覚えるわけですが
(「自分のつけた名前が気に入らなかったのかな」と )
若いのでそういう細かいことはすぐ忘れてしまったようです(笑。
オルフェがマリーに愛情や恋心を感じるようになるのは、先のことですしね。

上のカット、マリーの髪をポニーに結うのはオルフェがやってます。
ふたりのこの仕草がとても好きです。
前も一度描いたことがあったような。
マリーの前髪切ったのもオルフェ。一応今回も3の絵から前髪できてます。
気付いた人いたかなあ (笑

こういった経緯で、オルフェはマリーの育ての親になりました。
でも親というよりは…私の中では、宝物を大事にしてる子供。
もちろんこれはただの出会いの物語で、本編はこれから。
3と4は特にこの先の2人を暗示したものをこめてあります。
だから最後におくこの絵は、オルフェひとりです。
マリーの本当の笑顔は、まだまだおあずけ・・・


 

 

 

今回は続き物と予告してあったのに、大変間が空いてすみませんでした。
最初にこの話を更新し始めたときにも書きましたが
本当は、先の物語を作ってからあとで昔話をとして出すつもりだった部分です。
この2人は特に感情移入の強い子たちですが、エピソードとしてもとても思い入れがあります。
よかったら、BBSでもメールでも、ちょっと感想寄せてくれるとうれしいです


ここ最近(3、4ヶ月くらい?)別のものもがんばってまして。
絵とはまったく関係のない新しいこと。踏み入れたばかりでちょっと没頭してしまいました。
なんだかしらないけど、部屋にでっかいトロフィーまであります(笑
とはいえ、私の最愛であり生涯の私自身をかたちづくるのは、この絵と物語であることにはなんら変わりありません。
これからも、マイペースすぎるくらいの森を、ゆっくりとよろしくお願いします。