5月11日
僕が君に恋をしたあの時から
もう一年がすぎたんだね
もちろん僕がそれを覚えているのは
こうしてここに君のことを書き続けているからだよ
こういうことをやっていて、本当によかったと思う
どんなに僕が時を失っても
これを書きはじめた時からの僕を、
僕自身が感じ、信じることができるからね
記憶のことも、いろんな痛みにことも、
不安定な状態がすっかり安定してしまった
つまり こういうものだと納得してしまったんだ
今さら昔の僕に戻っても
僕はちっともうれしくない
なぜだかなんて、書かなくても
もちろん君にはわかるだろうね
でも ほんとうは
いつまでこれを書いていられるのかわからない
ほんの数日前から 別の変化が
僕を苛みはじめている
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ただ、なんとなくだけど
この痛みは君を想う心が誘い出す
あのせつない、敏感なものではなくて
かといって 僕の中のあの血が引き起こすものでもない
なんていうか、もっと内包的な…
生命の営みに含まれる必然が生み出す
僕の生命力の痛み
それは絶えず僕の体を締めつけ
けれど僕自身が耐えることを要求し
それが可能であることも知っている
鈍い痛みがつづく…
あまりにつきまとうので 教室の仲間達も
僕の様子に気づいて気をつかってくれる
「内包する痛み」
聞き覚えのある言葉 … ?
――誰だろう わからない
君ではない、もうここにいない人の言葉
僕が受け入れようとしているのは
僕自身の安らかな死なのだろうか
生命の内包する死
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